近い将来、全世界で認知症の患者数が1億人を突破するという予測が発表されてから、認知症患者の看護に対する関心が急速に高まりました。日本でも認知症患者の看護は社会問題になりつつあります。誰もが無関心ではいられない状況になってきているといえるでしょう。
認知症に関するセンセーショナルな情報がメディアを騒がせるたびに、認知症患者を看護する人たちの心は不安にゆさぶられます。しかし、そんなときこそ立ち止まってよく考えてみることが重要です。再認識しなければならないのは、認知症というのはある日突然発症する病気ではないということです。脳細胞が変形し始めてから、認知症の診断が下されるまで20年以上かかったという事例もあります。そのため、患者の脳ばかりに注目していてはいけないのです。

イギリスの大学は、30代で肥満と診断された人は、肥満でない人に比べ認知症の発症リスクが約4倍も高くなるという研究結果を公表しました。ちなみに、40代で肥満と診断された人の発症リスクは約2倍です。つまり、できるだけ若いうちに肥満を解消することが、認知症患者になるリスクを低下させるのです。
肥満を解消するには、血糖値を急激に上げる糖質をできるだけ摂取しないことが近道だといえます。日本は健康診断でメタボ検診が実施されていますが、30代でメタボだと診断された人には、それが認知症のリスクファクターになっていることを伝えていく姿勢が看護の現場にも求められているのです。